インタビュー

「ありがとう」とたくさんの人に感謝してもらえる仕事


有限会社 ダイワタクシー

牧田 宏さん

2018年8月20日(月)

「やりたいことは今やろう。」きっかけは母の入院。

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-どうして介護タクシーのドライバーになろうと思ったのですか?
「自分が人様のお役に立てることは何?」「やりがいが実感できる仕事は何?」って考えて、辿り着いた仕事が介護タクシーのドライバーでした。

 

-転職前は何をされていたんですか?
県外でソフトウェアエンジニアをしていました。

 

-全く違う仕事をされていたんですね!
そうなんです。元々、定年後はタクシー運転手をしたいとは思っていました。飲んで帰る日や、大荷物を持って雨の日にタクシーを利用して、これはありがたい仕事だなと思っていました。定年後にはこの仕事だと。

-ゆくゆくはタクシー運転手になりたいと思っていて、どうして定年後ではなく、今転職しようと思ったのですか?
母の病気が見つかり、入院してそのまま病院で他界しました。それで、やりたいことは今やっておかないと後悔するなと考えるようになりました。また、当時携わっていたのが大きな仕事で、自分がその仕事に対して、どれだけ貢献しているのかが見えにくい状況でした。母を見舞いに帰省する度に、面倒を見てくれる看護師さんたちを見て非常にありがたく感じ、こういう仕事って直接貢献が感じられるなと思いました。

 

-そこで、「介護職」という選択肢が出てきたんですね。
そうです。「介護」と「タクシー」の両方が出来る介護タクシーの世界に転職しようと考えました。独り身だったので、思い切って動けたというのもありますね。

 


介護タクシーと言えばダイワタクシー。パイオニアで働きたい!

 

-中でもダイワタクシーを選んだ理由はなんですか?
介護タクシーのことを知ろうと思って、「走れ介護タクシー(安宅温 著)」を読みました。香川に帰省したときに、友達に介護タクシーの仕事に就きたいと話したら、「坂出にいいタクシー会社があるぞ」と。それが本で題材にされたダイワタクシーだったんです。それで採用面接を受けました。

-介護タクシードライバーはどういったお仕事ですか?
タクシードライバーは、移動が困難な方に対して、移動の手段を提供するお仕事だと思っています。長距離歩行が困難な高齢者、免許を返納した方、お酒を飲まれた方や出張者などですね。

-介護タクシーは一般のタクシーとどういった違いがありますか?
通常のタクシーとは違って、介護タクシーはベッドtoベッドです。玄関から病院の診察室までの見守りが中心ですが、利用者さんの状況によっては、ベッドから車いすやストレッチャーへの移乗も行います。

-タクシーまでの移動の介助も行うんですね!
そうです。その他、外出支援の業務もあります。具体的には、車いすの利用者さんと商業施設で買い物したり、公園へのお出かけを支援したり、肢体が不自由な方の食事介助をしたり。入浴支援が入ることもありますね。

-1日はどういった流れで業務をされていますか?
出社後、点呼・アルコールチェック・車の日常点検を済ませてから、駅や病院にある待機場所に向かい、配車や乗り込みにてお客さんをお運びします。普通のタクシー業務ですね。その間で介護タクシー業務が入ります。割合としては1割程度でしょうか。基本的には、配車を待っての運行になります。

 

 

お客さんにはお客さんの道が。それを覚えるのも醍醐味。

 

-道は、どうやって覚えたんですか?
元々実家が丸亀で、高校を卒業してから県外に出ていたので、坂出の道はほとんど分からないに等しかったです。常連のお客さんは、行き先は「家まで」と言うんですよね。そう言われても分かんないので、「はじめまして」から入って、「道を教えてください」って聞くと、一からちゃんと教えてくれました。

-教えてもらいながら、自然と覚えたんですか?
そうですね。お客さんから教えてくれた道をメモに残し、また休日に原付バイクで坂出を走り回って復習しながら覚えました。お客さんに教えてもらって分かったんですが、お客さんにはお客さんの道があるんです。

-『お客さんの道』ですか?
AさんとBさんはご近所だけど、Aさんの道はこっち、Bさんの道はあっち。ナビとは違う道なんです。広い道が好きな人、狭い道でも最短ルートを通って欲しい人。お客さん毎のルートを表にまとめて覚えました。先輩からも「お客さんの言う道が正しい道だからな。」と助言を受けました。

-道を覚えるのも、この仕事の醍醐味ですかね?
苦労する点ではあるけれど、そこは楽しんでやっていますね。

 


働けば働いただけ、感謝してもらえる。それがモチベーション。

 

-介護タクシードライバーになって、初めてお客様からの感謝を感じたのはいつですか?
お客さんを乗せ始めて、すぐ感じました。もう本当にすぐです。

-やはり、やりがいを感じるのはお客様から感謝されるときですか?
そうですね。「ありがとう」ってお客さんに言ってもらえることがやりがいですね。「気を付けて帰ってな」とか言われると堪りません。

-他にお客様から感謝を感じた言葉はありますか?
スーパーからの帰りに、自分のために買ったであろうパンやお菓子、ジュースを頂くときがあります。「お気持ちだけで十分です。ありがとうございます。」と言っても、「いいから食べな」って言われると、ほんとありがたいです。

-それは対応が良くなければそう言ってもらえないですね。
そうですね。そういう時に、いい仕事したなと思えます。やっぱり感謝してもらえるのが、一番やりがいに思うところですね。

 

 

辛い待ち時間も、情報共有の時間に変えて業務に活かす!

 

-逆に、この仕事をしていて、辛いと思うことはありますか?
大きくは3つあると思っていて、1つ目は仕事がない時ですね。日曜日や夜間は病院がやっていないので、依頼が少なく暇だったりします。頑張りたいけれど、お客さんが呼んでくれないと仕事がないというジレンマがありますね。また、真夏の炎天下での待機は体力的にもツラいですね。

-2つ目に辛いと思うことはなんですか?
泥酔客の対応ですね。深夜に居酒屋さんから、酔っぱらって家まで帰れない人を連れて帰って欲しいという依頼をいただきます。ダイワタクシーなら介護をしているし、動けない人を任せても安心だろうということで…。どうしようもなくなったときには、警察に届けることもあります。

-困ったお客様の対応は難しいですよね・・
初めて対応に困るお客さんに出くわしたときは、先輩方の経験談がすごく役に立ちました。警察に連れて行った話も聞いていたので、どうしようもなくなったとき、対応に迷わなかったです。知ると知らないのとでは、いざという時に、対応が違ってきますよね。

-普段から社員同士で経験を共有されているんですか?
待機場所で待っているときに、先輩方がいろいろと教えてくれます。当社は、そういったコミュニケーションを大事にしていますね。

-3つ目に辛いと思うことはなんですか?
雨の日は、帰社後に洗車するんですね。翌日きれいな状態で乗ってもらうために。業務サイクルとしては、早番→遅番→休日の繰り返しです。業務終了後の洗車になりますから遅番の日が大変。次の日が休みなので、大丈夫なんですけど、リズムを掴むのが大変ですね。

 

 

会社や仲間のため、必要なことを自主的に取り組める!

 

-資格取得支援制度が充実していますが、入社して何か資格は取られましたか?
運行管理者の資格を取りました。仕事をはじめたからには、現場だけでなくタクシーを運行するための知識も身に付けたかったんです。社長からも勧められました。

-どういった勉強をしたんですか?
道路交通法や車両運送法、労働基準法などをいろいろ勉強できました。安全に責任を持つ仕事なので、資格を取って、安全に関する意識も変わりました。今も事故を無くしたいと思っていろいろと活動しています。

-資格取得で勉強したことを実務にも活かされているんですね!どんな取り組みをされているんですか?
事故を起こさないために、今月のスローガンを作って周知しています。書籍の情報や、自分が怖いなと思ったことを元に。一方で、ドライバー全員に浸透させる難しさは感じています。社長からも「魂を込めないとダメだぞ」と指導されています。

-自主的に取り組まれているんですか?
そうです。自分をはじめ、ドライバーの仲間のためにと思ってやっています。運行管理者は現場と管理者を繋ぐ仕事だと思っています。まだまだ出来ていないと感じているので、さらに推進して行きたいと考えています。

 


4月に導入したJAPAN TAXI

新しいことを取り込む会社。日々それを実感できる。

 

-ダイワタクシーさんはどんどん新しい取り組みをされているという印象なのですが、どういった取り組みがありますか?
そうですね、他社にはない取り組みで、ワンメーター表彰というのがあります。ワンメーターで運行した合計回数が多い順に3人表彰されます。

 

-逆にワンメーターだけだと運転手に口をきいてもらえなかったとかよく聞きます!
うちはそういうのはないですね。なんせ表彰するくらいですから。お客さんからも、「ダイワタクシーって優しいよね」と聞きます。

 

-新車も導入されたと伺っています!
そうですね、『JAPAN TAXI』という新型の車を導入するなど、日々、新しいものを取り込んでいますね。変わった形のタクシーを見かけたらダイワタクシーだと思っていいと思います!

 

-新しいものをどんどん取り入れる会社だから、自主的に安全運転のための取り組みができたりするんですね。
今は、班長になって、月1回の班長会議で若手のやる気がアップするように喚起する取り組みを話し合ったりしています。自分も先輩からたくさん教えて貰ったので、それを新人にも伝えていきたいと思っています。この仕事には、お金だけじゃないやりがいがあります。そういったやりがいを若手にも感じてもらいながら、一緒に仕事をしていきたいと思っています。

 

 


プロフィール
牧田 宏さん
香川県丸亀市出身
ソフトウェアエンジニアを経て、2011年にダイワタクシーに入社。
現在は、介護タクシードライバーとして、また班長としても活躍中。