インタビュー

お米の価値をしっかり伝えていきたい


くりや株式会社

代表取締役社長 徳永 真悟

2018年6月11日(月)

お米の卸と小売りの事業展開を行っているくりや株式会社。事務所に入って、まず飛び込んでくるのが『オコメール』と書かれた大きなポスト。そして、応接コーナーには、カラフルなデザインのパッケージが置かれていて、とってもキレイ。130年以上続く老舗企業ですが、手掛けていることはとっても新しい!そんなくりや株式会社の徳永社長に話を伺ってみました。

 

おコメに気持ちをコメて贈る『オコメール』が誕生

Q:このポストは本物ですか?
いえいえ、このポストに手紙を入れても届かないですよ(笑)。

 

Q:ポストにも書かれている『オコメール』とはどういうモノなんですか?

オコメールは、「おコメに気持ちをコメて贈る」新しいコメニケーションツールなんです。1合か2合、わずか150gか300gのお米が小袋に入っているので、手軽に渡せます。しかも、オコメールを袋に入れて、宛名と切手を貼れば全国の郵便局窓口から送ることもできるんですよ。もちろん、メール便でも送れるんです。

Q:お米を入れてメッセージを送れるので、オコメールですか!面白いですね!
- 東京ビッグサイトで開かれた「販促エキスポ」に出したんですよ。『気持ちをぎゅっとコメました!』というキャッチを貼って。そしたら、すごい反響でしたよ。「いろいろ見たけど、一番いいね!」と言われたことも。もともと商品力のあるお米がこういう形でノベルティになったというのが面白かったんでしょうね。

 

おコメの持つ価値をちゃんと伝えるということ
Q:オコメールのアイデアはどうやって生まれたんですか?
- 関東では香典返しにお茶が使われる風習があるみたいなんです。銀色のパッケージに入れて。

 それを知って、「お米ではいかんの?」と思ったんですよ。

 

お米やったらすぐに食べられて、もらって困るもんじゃないですからね。それで、お茶の代わりにお米を使ってもらおうと思ったんですよ。最初は、お茶っぱが入っている香典返しのパッケージの中身をお米に代えてもらうことからスタートしました。そこからパッケージにお米を入れたノベルティというアイデアに発展していったんです。

 

Q:なるほど、すばらしいアイデアですね!アイデア次第で、お米の持つ意味や価値がガラっと変わってきますね。
- そうなんです。日本全国の都道府県のお米を扱っていますが、各県のお米をオコメールというパッケージに入れて送り主の気持ちを添えることによって、お米にプラスの価値を付けることができるんです。

 

オコメールは、企業のノベルティとして使っていただくことも多いのですが、地元のお米を使ったノベルティを贈るということが、地元の農家さんの応援に繋がると、喜んで頂いています。

危機感がきっかけ・・

 

Q:お米は日本人にとって主食ですし、無くてはならないものですからね。
- 実は、主食が多様化している中で、お米の消費量は1年間に8万トンずつ減っている状況なんです。お米が主食というのははるか昔の話ですね。ごはんを食べる量はずっと減っていると思いますね。

 

Q:お米の消費量って減っているんですか?知りませんでした・・。
- そうなんです。お米はもう主食では無くなっているんですよ。だからこそ、地元の農家さんが作ってくれたお米を食べて、間接的に応援することが大事なんです。

 

しかも、お米を取り扱う業界は、国の法律や政権にかなり影響されるんですよ。政策が変わるとお米の相場がガラっと変わりますからね。外部環境に影響を受けやすい側面があるんです。

 

お米ができるのは、1年に1作のみです。それを1年かけて販売していくのです。お米の相場が決まったら、我が社の今年の決算はおおよそ決まってしまいます。外部環境に振り回されて会社の存続が決まるというのは、危険じゃないですか?価格決定権を自社で持てるビジネスを持たないといかんという課題があったわけです。そういうタイミングで、オコメールという商品のアイデアが生まれたんです。

 

Q:なるほど!そういう必要性があった上での誕生なんですね。ところで、こちらには社員食堂もあるそうですね。

新工場に移ってから食堂を設けたんです。ここでは、300円で日替わりメニューの定食が食べられますよ。うちは米屋なので美味しいごはんが食べ放題です。調理スタッフがここで作っているので、出来立ての定食を食べられるんです。食堂からは海が眺められますよ。

 

Q:それはいいですね!
この食堂はお客様を呼びたいという想いもあって造ったんです。業者さんに、どのようなプロセスで精米が出来上がっていくのか見て頂いたり、複数のごはんを同時に食べてもらって味の違いを理解してもらいたいという思いもありましたね。

 


包装工場内は、とってもキレイでスッキリしています。

Q:食堂からは工場が眺められますが、清潔でキレイな工場で働けるというのはいいですね!
そうなんです。やっぱり、スタッフが働きやすい環境を整えてあげるというのを大事にしたいと思っていますからね。実は、前の精米工場はぬかまみれだったのです。お客さんを呼びたいと思っても申し訳無いと思っていました。新しい工場は清潔でキレイなので、スタッフにとっても見学に来られるお客様にとっても、良い環境だと思います。

 

うちは、素直で温和な人が多いんです。20代~50代と幅広い年齢のスタッフ達が働いているのですが、声を掛け合ったり、食事を一緒に取ったり、コミュニケーションを大事にしながら働いています。チームワークを大事にしながら、スタッフの成長と共に成長できるような会社にしていきたいですね。