働く人におススメ本

「自営型で働く時代」という本


2025年7月31日(木)

先日、『自営型で働く時代』という、ちょっとお堅めのタイトルの本を読んでみました。内容は結構、難解でしたが(^-^;ジョブ型だのメンバーシップ型だの、働き方の分類がまるで大学の講義みたい・・。でも、読み進めるうちに「あれ、これって今の日本人の働き方にめちゃくちゃ関係ある話では・・?」と引き込まれました。

本によると、そもそも日本では高度経済成長期までは、農業をはじめとする自営業が多数派だったのだそう。実は、1958年までは自営業主と家族従事者の合計が雇用労働者を上回っていたらしい!でも、工業社会が進むにつれて雇用労働者として働くことが主流化して、作業の効率化を図るために分業化が進められて、働き方が物理的・制度的に組織化されていったのだそう。高度経済成長と共に「会社に入って、長く勤めて、定年まで安心」が主流になっていましたね。

でも、その「みんなで仲良く会社で頑張る」メンバーシップ型の働き方も、この30年程は低調です・・。生産性は上がらないし、イノベーションも鈍化。おまけに、仕事に対する意欲や働き甲斐を表す指標「ワークエンゲージメント」に関して、周知のとおり、日本は世界最低水準にあります。「働き方改革」が叫ばれてもう何年も経ち、残業削減に有給取得の義務化と、制度面はかなり進んできました。でもその一方で、働くことそのものに対してネガティブなイメージが強くなってしまっているような気がして、ちょっと寂しい気もします。

そんな中、この本に書かれていて興味深かったのが、「仕事の満足度には『自己裁量』が大きく関わっている」という内容です。つまり、自分のペースで計画を立てたり、自分の判断で進められる仕事の方が、人はイキイキするのだそうです。「言われたことだけをこなす仕事より、自分で考えて動ける仕事の方が楽しい」と人は感じるのだそう。

実はヨーロッパでは、1970年代にはすでに「分業って人間を機械扱いしてない?」という問題提起がされていたそうです。その結果、「職務拡大」や「裁量権の拡大」など、働く人が人間らしく仕事をできるようにしようという改革が進められたのだそうです。

この本を読んで改めて感じたのは、「自営型的な働き方」は、もっと見直されてもいいのでは?ということです。もちろん、誰もがフリーランスが向いているという訳ではないです。でも、会社の中にいても、「自分で考え、選び、動く」というスタンスを持つことが、仕事をもっと楽しくするカギなのでは?とこの本を読んで改めて思いました。

「安定=正社員」という時代は、少しずつ変わりつつあります。転職市場を見ていても、「雇われ方」のバリエーションは確実に増えています。もし今の働き方に違和感を感じているなら、「自営型っぽい働き方」、ちょっと視野に入れてみてください。意外と、自分にフィットするかもしれませんよ!