スタッフブログ

『大家さんと僕』(著:矢部太郎)を読んで


2026年3月10日(火)

お笑い芸人の矢部太郎さんと、同じ家に暮らす大家さんとの日常を描いたコミックエッセイ『大家さんと僕』。

人気になり話題になっていたことは知っていましたが、これまで手に取ることはありませんでした。

もともと漫画をあまり読む方ではないこともありますし、シンプルで線の少ないタッチの絵柄を見て、「知ってはいるけれど読む機会はないだろう」と、どこかで思っていたのです。

 

そんな私がこの作品に出会ったのは、今年のお正月の三が日でした。朝早く、たまたまつけたテレビでNHK Eテレが本作のアニメを再放送していたのです。

 

ほんわかとした雰囲気の矢部さんと、どこか気品のある大家さん。二人のやり取りは派手な出来事があるわけではないのに、見ているこちらまで穏やかな気持ちになります。丁寧な言葉づかい、さりげない気遣い、日常の何気ない出来事を大切にする姿。朝の静かな時間にぴったりの、優しい空気が流れていました。


ところが、お正月の特別編成だったからなのか、物語は途中で終わってしまいました。年の初めの朝から温かな気持ちになれていた分、「この先が気になる」という思いが強く残りました。番組情報を確認してみても続きの放送予定はなく、結局、本を手に取ることにしました。


実際に読んでみると、「ただの漫画」と思っていた自分を少し反省しました。これは漫画というより、日常の出来事を優しく切り取ったコミックエッセイでした。

 

そこには、忙しい毎日の中で忘れがちな大切なことが、さりげなく描かれていました。丁寧に暮らすこと、人を思いやること、穏やかに日々を過ごすこと。大家さんの上品な言葉づかいや考え方には、思わず背筋が伸びるような気持ちになる場面もありました。


矢部太郎さんはこの作品のほかにも本を出版されているそうです。まだ読めてはいませんが、この作品を読んだ今、個人的には「きっと素敵な本に違いない」と期待が膨らんでいます。本との出会いのきっかけは人それぞれですが、不思議なことに、本は読むタイミングによって、その時の自分に必要なヒントを与えてくれるように感じます。

 

今回この本を読んだのも、もしかすると今の自分に必要な何かがあったからなのかもしれません。

 

日常の中にある小さな優しさや、穏やかな時間の大切さを思い出させてくれる一冊。読後、心がふっと軽くなるような、そんな温かい作品でした。