仕事・生き方に効く本

「働き手不足1100万人」の衝撃


2024年5月15日(水)

1100万人もの労働人口が不足するという衝撃的なタイトルのこの本。真剣に読み進めてみると、現在の労働力不足は、これまでとは異なり、かなり深刻な問題だと警笛を鳴らしている。

これまでは労働者の過不足は景況感や企業業績に左右されていたのだそう。でも、今の深刻な労働者不足は、少子高齢化の中で、労働供給量がボトルネックになっているという。つまり、これまでのように企業の業績の良しあしに労働者の需要が決まっていたのとは異なり、絶対的に労働力人口が足りていないという状況なのだそう。さらに、深刻な状況なのは、少子高齢化が加速化している中で、社会を維持するために最低限必要な労働力を確保できなくなっているという事態だと言う。

例えば、介護サービスは2040年には58万人の労働者不足に陥り、需要に対する不足率は25.2%。なんと4分の1の施設で不足。そのため、本当は週4日が必要なデイサービスにスタッフ不足で3日しか通えないとか、介護施設に入れないなどの事態が発生してしまう。保健医療施設も同様で、2040年には81.6万人の供給不足となり、需要に対する不足率は17.5%。人の手が必要な職種なので、診察を受けるのが難しくなったり、救急車を呼んでも受け入れられる病院が無いという事態も考えられるとのこと。

でも、実際問題として、2040年まで待たなくても、現時点でも労働供給不足によってサービスが提供できない問題は存在する。2人の小さな子どもを抱えているのに、子どもを保育園に入れなかったというお母さんに先日会った。また、学童に申し込む時期に、大病で会社を辞めざるを得なかったので、審査に落ちたというお母さんもいた。受け入れられる人数が決まっているので、保育園や学童に入れないという問題は香川県内でもすでに発生している。

労働者不足によって必要なサービスが受けられないという事態に、すでに陥っているように思う。ただ、この本で書かれていた解決策を読み、確かにそうだと共感した部分がある!

それは、会社に勤めながら地域コミュニティの活動に参加できるように会社が支援するという体制作りに関して。周囲の住人の生活の手助け(草刈りや買い物の補助など)や子どもの教育活動のサポート、公共空間の清掃活動、高齢者の見守り、地域の子ども達に見守り、町内会や自治会などの地域活動など、地域コミュニティに必要な活動はたくさん存在する。でも、仕事で忙しく地域コミュニティにボランティアで参画する人はかなり少ない。例えば、月に1度など少ない頻度でいいので、できる地域ボランティア活動に参加することによって、地域の人達との交流もできるし、少しずつ助け合いの精神も育まれるように思う。

これだけ労働者不足が深刻化する中で、私達の地域のことは自分達でできることはやっていこうと言う考え方がすごく大事なように、この本を読んで思った。