斉藤興業は昭和41年に設立。約50年の歴史がある会社です。結婚式場や学校、マンションなど幅広い建築物の左官業を手がけ、重要文化財の補修工事にも携わっています。左官業というと古いイメージがあるかもしれませんが、最近になってから、伝統的な技術への関心の高まりや、エコブーム、漆喰や珪藻土などの自然素材を使った壁の人気が戻り、左官を行う職人さんも増えてきています。そんな中、左官業を専門に手掛けている斉藤興業の斉藤さんに話を伺った。
Q: 御社の事業について教えて下さい。具体的にどのような事業をされているのですか?
- 左官といって、建物の「壁」や「床」、「天井」などを塗る仕事をしています。左官の業務で「塗り壁」が一番よく知られていますが、なんでこの仕事を『左』の『官』と書くのか知ってますか?
Q: 知らないです!どうしてですか?
- 左官業というのは、江戸時代から続いてる伝統のある仕事なんですよ。『官』という言葉がついてるでしょう?かつては官僚扱いだったんです。右の官と書く『右官』は、木造建築の職人です。右官は大工と呼ばれるようになりましたが、左官という言葉は江戸時代から残っているんです。
Q: そんな古くからある職業なんですね!具体的には、どのような建物に携わっているんですか?
- 結婚式場や学校、マンションなど幅広い建築物を手掛けていますよ。例えば、浜ノ町に新しくできたアールベルアンジェ高松やアルファステイツ番町、高松東校や山田高校などに携わらせて頂きました。伝統構法では、屋島寺や金丸座、四国村などの重要文化財の壁も手掛けていますよ。
Q: そうなんですね!重要文化財にも携わっているだなんて、すごく大事な仕事ですね!そもそも斉藤さんがこの仕事をしようと思ったきっかけは何ですか?
- 自分が3代目になるんですよ。体育系で柔道をしてたんですけど、大学2、3年の頃から、勉強よりは体を動かしたり、モノを作る方に向いているのではと思ったんです。それで、大学卒業前にいざ何をしようかなと思った時に、うちにはじいちゃんから築き上げてくれた基盤があるので戻ってこようと思いました。姫路の左官屋さんに3年程修行に行ってから、香川に戻ってきました。
Q: 実際に始めてみてどうでしたか?
体力的にはしんどい仕事やと思います。ただ、自分が携わった建物が50年以上残るものなので、建物が仕上がった時の喜びは大きいですよ。左官を始めた時は、彼女に「この仕事をしたんやで!」と自慢できるのがうれしかったです(笑)。
特に、重要文化財に携わらせてもらった時には、誇りが持てますね。先人の人達が智慧を使って建てた建物が今に至っても残っていて、それを次の世代に残していくために自分達が協力させてもらうというのは、大きな誇りですよね。
Q:この仕事の難しさはどんな所にありますか?
- 建築には、いろんな工事業種があるんですけど、左官が一番難しい仕事だと思うんですよ。カタチの無いものを作らんといかんから。他の工事業種やったら、図面を起こして、そこから調整したりできるのですが、左官は柔らかい材料からカタチを作るので、熟練の腕を持っていないとキレイにできないんです。
Q: カタチを作っていくのってそんなに難しいんですか?
- ケーキにホイップクリームを塗る感じなんです。なかなかキレイにできないでしょ?あんな感じなんです。でも、でき出したら、階段とか作れるし、丸い柱を作ることもできるようになったりして、徐々に面白くなるんです。あと、幾つか資格があって、資格を取る毎に賃金があがるので、目標が立てやすいと思います。
Q: 斉藤さんが働く上で大事にしていることは何ですか?
- おせっさん(家を造る人)がいて自分達はご飯を食べられているので、お客さんが喜んでくれるような仕事をするというのを大事にしていますね。
また、みんなで協力しながら共同で一つのものを作っているという意識を大事にしています。大きな建築物になると、大工、左官、水道・電気・照明・床暖房などの設備屋さんなど、ほんと、数えきれない職種が集まってするんです。他の人達も働きやすいように、また、計画通りにきちんと作業が進むように協力できているか意識しています。そのためにも、掃除をきちんとやるし、モノの整理もきっちりしますね。心の使い方が建設現場にも表れますからね。
Q: この先、どのようなことをしていきたいと思っていますか?
- 若い人材を育成したいですね。若い人達に物作りの楽しさを広めたいんですよ。自分で触れて、自分で作る喜び、そのリアルを実感してもらいたいですね。そして、建築業の楽しさを知ってもらって、「この仕事をしてみたい!」という人を増やしたい。職人育成塾*に関わっているのもそういう思いからです。
*職人育成塾:平成28年10月3日~12月2日に行われる内装・設備の職業訓練。詳しくは、職人育成塾のHPを参照下さい。http://www.shokuninjuku.com/
Q: 仕事を探している人達にメッセージをお願いします。
まずはモノを作る楽しさを知ってもらいたいです。モノを作るという過程ではモノ作りの面白さもあるし、楽しさもある一方で難しいとか、しんどいといったいろいろな感情があると思います。まあ、どの仕事でも同じやと思うんですが、仕事の経験を通していろんな感情とぶつかり、葛藤も味わいながら、人として成長して欲しいと思いますね。
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